なぜ犬は吠えるのか?~飼い主が知るべき理由と具体的対応~

大阪・兵庫を中心に活動しているドッグトレーナーの原口です。
犬が吠える──それは犬にとって、ごく自然な行動です。
吠えることは、喜び・警戒・不安・欲求など、**犬が感情を表現する一つの「言葉」**とも言えるでしょう。
問題は、「なぜ吠えているのか」を飼い主が理解し、その意味に合った対応ができるかどうかです。
この記事では、犬が吠える理由を5つに整理し、それぞれに対して**「無視しない」前向きな対応策**をご紹介します。
1. 警戒心から吠える場合
インターホンの音や玄関先の足音などに反応して吠える犬は多く見られます。これは縄張り意識や警戒心から来るもので、「家族を守ろう」とする防衛本能とも言えます。
飼い主ができること:
- 怖がっていると「ありがとう、もう大丈夫だよ」と安心できる声で声掛けをします。
- 外の音をシャットアウトできる環境づくり(カーテンや目隠しフェンスの活用など)。
- 日常的にその音に慣れさせるためのトレーニング(インターホンの音にご褒美を与えて「良い音」に変える)。
2. 喜びや興奮による吠え
散歩やごはん、来客などに対して吠えるのは、興奮状態にあることが多いです。これは「うれしい!」「早くしたい!」という気持ちの表現で、悪意はありません。
飼い主ができること:
- 興奮して吠えている時は、まず深呼吸して飼い主自身が落ち着くこと。
- 事前に興奮するシチュエーションの前にクレート待機などで予防する。
- 散歩やごはんの前には「おすわり」などの指示を出し、冷静さを促すルーティンを作ります。
3. 要求(何かが欲しい)で吠える場合
「遊んでほしい」「おやつがほしい」「外に出たい」など、犬は飼い主の注意を引くために吠えることがあります。
飼い主ができること:
- 吠える前に望む行動を読み取ってあげる習慣をつける。
- 事前にルールを作る(たとえば「8時になったら朝ごはん」など)。
- 吠えていない時にごほうびや遊びを与えることで、**静かに待つことが「得になる」**と教える。
4. 不安やストレスによる吠え
外の物音、雷、花火、大きな声などが苦手で、不安や恐怖心から吠えるケースもあります。また、運動不足や孤独感から来るストレスも原因になります。
飼い主ができること:
- 犬が不安になっている対象を取り除くか、安心できる環境に変える。
- クレートやベッドなど、犬が「安心していられる場所」を確保する。
- 散歩や遊びの時間を増やし、ストレスを発散させる。
- 抱きしめたり、寄り添ったりして情緒的な安心を与える。
5. 学習された習慣吠え
過去に「吠えたことで欲しいものが手に入った」経験があると、犬はそれを繰り返すようになります。これを「条件づけ」と呼びます。
飼い主ができること:
- 吠える前の行動(うろうろする、じっと見つめるなど)を察知し、吠える前に先手を打つ。
- 言葉や合図で「待て」や「おすわり」などを促し、吠える以外の行動で望みを伝える練習をします。
- 吠えても反応せず、代わりに「良い行動」を取った時にこそ褒めるようにします。
※無視という形ではなく、「別の行動へ導く」という積極的な姿勢がポイントです。
最も大切なのは「共感と信頼」
犬が吠えるとき、それは飼い主に伝えたい何かがあるからです。
まずは「どうしたの?」と犬の気持ちに寄り添い、落ち着いてその理由を探ってみましょう。
しつけは「支配」ではなく「信頼関係」の中でこそ、効果を発揮します。
感情的に叱ったり、無理に止めたりするのではなく、「なぜ吠えているのか?」を理解し、吠えずに伝える方法を一緒に学んでいく姿勢が何より大切です。
犬との毎日は、学びと発見の連続です。
愛犬との信頼関係を深めるためにも、ぜひ「Colors-Dog公式サイト」の他の記事も参考になさってください。